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決算期末の中小企業への訪問時のポイント

公認会計士・税理士 都井 清史

金融機関の腕の見せ所

本稿では3月決算企業に対して金融機関職員が2月や期末月の3月に訪問した場合、どのような点に注意するべきか、どのような質問をするべきかについて検討してみたい。

これは病院を訪れた患者に対して医者が問診を行い、患者の様子を知るのに近く、金融機関職員の腕の見せ所である。

資金と損益の2つがポイント

①資金面

まず資金繰りがいつも厳しい中小企業の場合は、3~4月の資金繰りが1年間の山場を迎えることになる。

得意先が大企業で、仕入先や下請け先が当該会社よりもさらに零細な中小企業であるケースを考えてみると、3月分の売上代金の回収は5月までなく、一方の支払いは入金前の4月末には到来する状態が普通である。

これは企業間の力関係から大企業ほど支払サイトが長く、中小企業ほど短いのが通例であることによるものである。

しかも、決算前の2月・3月には取引額も急増することが多いため、3月・4月末の資金繰りは非常にタイトになり、一時的にはマイナスとなることが想定される

 

まずは当面の資金繰りを聞く >>>